本データベースは、平成12年(2000年)までに発刊された、万葉集に関する研究資料として重要な位置づけにある研究誌に所収の論文内において論述されている論文概要(論文要旨、論述対象の歌、歌句、歌作者、参考歌・歌句等)をデータベース化し、その検索の便を図り、主として古代文学(和歌)、万葉学における研究に資するもので、漢字かなまじりの日本語テキストデータによるデータベースである。
対象となる主要研究誌は、萬葉学会『萬葉』(1951年〜2000年・175冊)、美夫君志会『美夫君志』(1959年〜2000年・60冊)、上代文学会『上代文学』(1952年〜2000年・84冊)、塙書房刊『萬葉集研究』(1972年〜2000年・24冊)、万葉七曜会編『論集上代文学』
(1970年〜2000年・24冊)、古代文学会『古代文学』(1961年〜2000年・40冊)を中心とし、必要に応じて紀要なども含めて構築する。(平成13年4月現在)
わが国の和歌文学の始発となる万葉集の研究は、年々の隆盛を極め、年間300編以上の論文が世に問われている。このように研究の蓄積が大きくなってゆくのに対して、研究は細分化しているという状況がある。その情報量は、個人の整理・分類の能力の域を越えている、といえるだろう。また、歌数が4500首以上もあるため、論文タイトルのみのデータの検索では、内容の把握に限界があるといえ、多くの研究者は、網羅的な論文情報の整理・利用の方法を模索しているといえるだろう。キー・ワードや要約も含めたデータ・ベースを作ることが、以上のような研究状況のなかで、急務であると考えられる。すでに始まった作業に対しても、多くの研究者が大きな関心を持っている。将来的に学界の共有財産となるプロジェクトのため、学界の期待は大きく、強くその本事業の継続が望まれている。
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