万葉集主要論文所収歌句データベース(試作)


 論文タイトル
「痛寸取物」試訓
 論文サブタイトル

 単著/共著
単著
 論者名
大野保
 ふりがな
おおのたもつ
 発行年月
1963/6
 発表雑誌名
美夫君志
 特集タイトル

 発行所
美夫君志会
 発行番号
6
 掲載頁
2734
 巻番号
4
 対象歌番号
537
 対象歌句番号
537-5
 歌作者データ
高田女王
 参考歌番号
11, 94, 150, 302, 319, 537, 551, 605, 671, 723, 738, 876, 901, 962, 999, 1036, 1245, 1328, 1383, 1753, 1777, 1946, 2065, 2279, 2432, 2478, 2632, 2657, 2803, 2822, 2832, 2904, 2979, 3274, 3329, 3354, 3387, 3699, 3711, 3791, 3841, 3875, 4039, 4083, 4113, 4115, 4215, 4220, 4296, 4366, 4398, 4432
 キーワード
訓詁,誤写,誤字,続紀宣命,記紀歌謡,上宮聖徳法王帝説,桂本,西本願寺本,紀州本,万葉集古義,万葉集新考
 論文要旨
万葉集巻四の高田女王の537番歌五句目は、未だに定訓を見ない。従来、古義及びそれに修正を加えた新考の誤字説は否定されてきたのであるが、古写本そのものの字面から妥当な訓を導き出せない以上、誤写説を考えても良いであろうとする。そこで、「痛寸取物」とある「取」を「敢」の誤りであろうと指摘する。そして「敢」は否定または打ち消しを伴うことが多いことから、「寸」を「不」の誤写とする。そこからは「痛ミ敢ヘヌ」のような訓が考えられるが、それでは逢えない嘆きを詠んだこの歌の意とは合わない。そこで「痛」を「有」の誤字とし、「有不敢物」が本来の姿であろうと結論付ける。結果この五句目を「有りも敢へじもの」と訓する。"