万葉集主要論文所収歌句データベース(試作)


 論文タイトル
紫の恋
 論文サブタイトル
その軍事的背景
 単著/共著
単著
 論者名
松田好夫
 ふりがな
まつだよしお
 発行年月
1963/6
 発表雑誌名
美夫君志
 特集タイトル

 発行所
美夫君志会
 発行番号
6
 掲載頁
17
 巻番号
1
 対象歌番号
20, 21
 対象歌句番号

 歌作者データ
天武天皇,額田王
 参考歌番号
9, 13, 14, 15, 17, 18, 19, 20, 21
 キーワード
天智天皇,天武天皇,大海人皇子,額田王,日本書紀,紫,薬猟,遊猟,縦猟,大織冠伝,壬申の乱,白村江の戦,近江遷都
 論文要旨
大海人皇子と額田王との贈答歌20、21の背景について考察する。「茜さす紫野」は現在滋賀県蒲生郡の蒲生野とされるが、そこは大津京から遠く離れた地であり、何故それ程遠い所で「遊猟」が行われたのであろうか。まず題詞に「遊猟」とある点に着目し、これは推古紀の「薬猟」とは単純に置き換えられるものでなく、「縦猟」ともども軍事演習との意も含む語と指摘する。この時期、大和朝廷は白村江での戦に敗れ、軍事政策がとられていたことが書紀から知られる。この「遊猟」もその政策の一環であり、不破、鈴鹿の関、そして越前との交通の要地であったこの地で演習が行われたと推定する。そしてその時の演習の空隙に交わされた相聞歌がこの二首であると説明する。"