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論文要旨 |
| 貧窮問答歌の作歌動機について論じる。この歌は巻五所収の他の憶良の長歌と違い、序文を持たず、ただ「山上憶良頓首謹上」との左註を有するのみである。そこからは、歌が憶良作、そして誰かに送られたことが知られるのみで、それが誰なのか、いつなのか、その動機はなどは不明である。そこで、巻五がおよそ年次順に配列されていることから、作歌時期を天平三年以後筑前守解任頃までと考え、官名が書かれていないことから、解任直後の帰京の際でないかとする。そしてそこに詠まれた状況を、憶良が見た筑前の農民の現状であるとし、送り相手は後任の筑前の守に対して、事務引継の書類に付されたものでないかと結論づける。"
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