万葉集主要論文所収歌句データベース(試作)


 論文タイトル
443番歌「衣不干」の訓みと解釈
 論文サブタイトル

 単著/共著
単著
 論者名
板垣徹
 ふりがな
いたがきとおる
 発行年月
1980/3
 発表雑誌名
美夫君志
 特集タイトル

 発行所
美夫君志会
 発行番号
24
 掲載頁
2938
 巻番号
3
 対象歌番号
443
 対象歌句番号
443-46
 歌作者データ
大伴三中,作者未詳,大津皇子,柿本人麻呂,古集,大伴利上,柿本人麻呂歌集略体歌,柿本人麻呂歌集非略体歌,遣新羅使人,大伴三依
 参考歌番号
107, 194, 1241, 1249, 1573, 1839, 2240, 2395, 2705, 3163, 3709, 690, 1145, 1186, 1688, 1717, 2235, 3712, 3701, 252, 1187, 1204, 1234
 キーワード
土橋寛,アララギ派,写実的,丈部龍麻呂,篆隷万象名義,ほせどかわかず,着物(衣)が濡れる,恋情をいやす,共寝の観念,旅にある者,家なる妹,家郷を離れての死,衣かわかず,伊藤博,神野志隆光,海人とか見らん,吉永登,ぬばたまの妹がほすべく,森淳司,村瀬憲夫
 論文要旨
万葉集の歌は素朴・単純・写実的であるとするアララギ派の影響により、従前巻3・443の46句目「衣不干」は、旧訓「衣カハカズ」・新訓「衣デホサズ」両者の訓み共に、多忙または旅先で世話をする人(妻)がいないと、写実的な方向の解釈が目立つ。本稿では、着物(衣または袖・裳)が、自然の物象(雨・波・池・露霜)によってヌレタと詠ずる時は、必ずホス・カワク事(家なる妹によって恋情が癒される)が前提となる、恋情に拘る観念的な表現と解釈する。したがって、「衣不干」は“家の妻にずっと逢えない(共寝をしない)ために、衣がかわくこともなく”という意であるとの新解釈を提示し、無生物の衣が主語になっている旧訓「コロモカハカズ」を復活させた。"