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論文要旨 |
「或本反歌二首」とある巻3・424,425番歌は長歌423に対する反歌であり、「或本」の反歌とする諸伝は誤りとする説をふまえて長、反歌のあり方を検討する。長歌は第5,6句「おもひつつ通ひけまく」の通った先を女のもとでなく、藤原宮とて、宮仕人の作者と石田王の親近性を重視し、題詞に基づいたを解釈するが、一方の反歌は、初二句「河風の寒き泊瀬を」が結句「逢うへや」にかかる時に生じる曖昧さが左注によって解明されるとする。この対立する両者の成立事情について、作者山前王は反歌二首を作った後長歌を作成したが、伝誦されるに従い、同時作歌と解されるに至って、各歌の本意の不均衡さから「或本」の所伝が生まれたと述べる。"
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