万葉集主要論文所収歌句データベース(試作)


 論文タイトル
萬葉集訓詁断片
 論文サブタイトル
―あたゆまひ、ことよりの、いもがここり―
 単著/共著
単著
 論者名
大野晋
 ふりがな
おおのすすむ
 発行年月
1952/4
 発表雑誌名
萬葉
 特集タイトル

 発行所
萬葉学会
 発行番号
3
 掲載頁
3844
 巻番号
2
 対象歌番号
114, 4320, 4382 
 対象歌句番号
144-3,4382-3,4390-4
 歌作者データ
但馬皇女,大伴部廣成
 参考歌番号
2247, 4391
 キーワード
アタユマヒ,あた―,コトヨリニ,母音交替による同義語の造語法,異,片,里,万葉仮名の字音の変遷,防人歌の用字法,下総国の防人歌の用字
 論文要旨
4382番歌第三句「阿多由麻比」について、アタが「急」を意味し、「アタユマヒ」はアタヤマヒの訛であり、「急病」の意とする。114番歌第三句「異所縁」はコトヨリニとカタヨリニと訓む説に分かれる。論者は、陰性母音のオ列乙類の母音〔 〕は陽性母音のア列母音〔 〕と母音交替して、同義語を構成する造語法を適用して、koto〜kataという対応を考える。「異」は音のみを借り、「片」と同義を示すと考える。4390番歌第四句の「去々里」は「ココリ」と訓まれ、「心」の訛とされているが、中国音韻史に応じたわが国の万葉仮名の字音の変遷、防人歌の国毎の用字法の特色を考え併せ、下総国の防人部領使は、「里」の字を「ロ」の乙類に用いたのではないかとする。"