万葉集主要論文所収歌句データベース(試作)


 論文タイトル
「梅の花咲き散る園」私考
 論文サブタイトル

 単著/共著
単著
 論者名
和田徳一
 ふりがな
わだとくいち
 発行年月
1953/4
 発表雑誌名
萬葉
 特集タイトル

 発行所
萬葉学会
 発行番号
7
 掲載頁
2935
 巻番号
18
 対象歌番号
4041
 対象歌句番号

 歌作者データ
田邊史福麻呂
 参考歌番号
巻10・1900, 巻18・4036, 4037, 4039, 4040, 4042, 4134, 4174, 巻19・4238
 キーワード
梅,園,布勢湖,越中
 論文要旨
巻18・4041は、既に巻10・1900「寄花歌」として採録されていおり、巻頭より続く越中の家持館で開かれた使者田邊福麻呂を迎える饗宴の折の歌々の中で、珍客福麻呂によって誦詠された古歌と考えられる。しかし、題詞の春三月二十三日の詠によるには、梅の花期が季節はずれであり、また連作歌中の「藤波の咲き行く見れば」(4042)の時節と相違することから、ここに「梅の花咲き散る園」の古歌が誦詠された理由を探る。越中の布勢湖畔と比定される土地に「園」の地名が古くから伝わることを提示し、福麻呂は宴席で翌日遊覧する布勢湖について見聞した際、「園」の名から「梅の花咲き散る園」を起想し、期待をよせる心を、「君が使を片待ちがてら」に重ね合わせて誦じたもので、当意即妙の才を発揮して主人の勧誘に快諾を与えるために詠み出されたと考察する。"