万葉集主要論文所収歌句データベース(試作)


 論文タイトル
黒人の「旅にして」の歌の訓釈
 論文サブタイトル

 単著/共著
単著
 論者名
森本治吉
 ふりがな
もりもとじきち
 発行年月
1955/10
 発表雑誌名
萬葉
 特集タイトル
解釈特集号
 発行所
萬葉学会
 発行番号
17
 掲載頁
2125
 巻番号
3
 対象歌番号
270
 対象歌句番号
270-3,270-5
 歌作者データ
高市黒人
 参考歌番号
32, 33, 40, 131, 159, 246, 274, 288, 1068, 1207, 1229, 1241, 1266, 1611, 1718, 2162, 2205, 2209, 2215, 2232, 3223, 3700, 4728
 キーワード
ニ,山下,モミジ
 論文要旨
巻3・270は、第三句と結句の解釈に問題がある。結句については、助詞ニを表記する「ニ漕グ」の用例から、助詞ニが「に向かって」と目的地を示すことを指摘し、ニを詠み添えながら「沖に於いて漕ぐ」と解釈する多数の説を退け、「沖に向かって漕ぐ」の意であることを明らかにする。また、地名説、写実説、枕詞説と意見の分かれる第三句については、適当する海岸の地名が無いこと、普通名詞としての「山下」の用例が多数あることより地名説を、黒人歌において枕詞の見られないこと、万葉人の植物観より考察し、「山下が赤く光る」の意で枕詞の成立する可能性が、ごく薄いことから枕詞説を、それぞれ否定し、結句の新釈によって、3,4句と5句との間の矛盾が解消される写実説を採用すべきことを究明した。"