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論文要旨 |
萬葉集成立当時何らの異伝を見なかったものが、書写上の誤りから、あたかも本来固有の異伝注記であったかのように、本文に併せ記載され伝来していると思われる例として、巻17・3896を取り上げ、本文伝来の間における異伝発生の原因・経路についての考察を行う。当該歌は第四句に異伝を伴うが、元暦校本・古葉略類聚鈔の比較検討により、少なくとも元暦校本当時までは異伝は存在しておらず、書写上の過誤によって、それ以後本文に変化を生じ、以前の本文は異伝として併記されるに至ったという経緯を明かにする。また巻3・344の第五句の異伝においても、同様の経路の把握できることを指摘した。"
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