万葉集主要論文所収歌句データベース(試作)


 論文タイトル
「濱松之上於雲棚引」
 論文サブタイトル

 単著/共著
単著
 論者名
蜂矢宣朗
 ふりがな
はちやのぶあき
 発行年月
1958/10
 発表雑誌名
萬葉
 特集タイトル

 発行所
萬葉学会
 発行番号
29
 掲載頁
4953
 巻番号
3
 対象歌番号
444
 対象歌句番号
444-4,444-5
 歌作者データ
大伴三中
 参考歌番号
79, 230, 460, 904, 916, 929, 1048, 1056, 1433, 1434, 1785, 1835, 2126, 3581, 3906, 3957, 3958, 4236, 4434, 4450, 記4
 キーワード
「於」,助詞の読添え,「ニ」の頻出,クモニタナビク,「ニ」,「ト」,山田孝雄
 論文要旨
巻3・444番歌の第五句について、「雲ニ棚引く」という言い方の問題から訓みを決定する。場所をあらわす「ニ」と、引用を示す「ト」以外の用法では、助詞「ニ」と「ト」は共用されることもあった。上代では「ニ」の勢力が強く、やがて「ト」の勢力が強くなってきたようである。「雲ニトなって(雲のように)たなびく」というような言い方をした、雨・霧・雲などの天然現象をみると、「ニ」の例では、挽歌という場面や内容の制約のための形式的表現という点で、一つの類型的な表現としてあらわれている。その一方、3906番歌の「ユキトフル」のような、類型に捉われる必要のない自由な、比較的新しい勢力をもった表現が生まれたことを考えると、444番歌を「雲ト棚引」と訓む例とはなりえない。よって「クモニタナビク」の訓を支持したい。"