万葉集主要論文所収歌句データベース(試作)


 論文タイトル
「弟世」と「伊呂勢」
 論文サブタイトル
「世」字書添えの意義
 単著/共著
単著
 論者名
稲岡耕二
 ふりがな
いなおかこうじ
 発行年月
1966/4
 発表雑誌名
萬葉
 特集タイトル

 発行所
萬葉学会
 発行番号
59
 掲載頁
5255
 巻番号
2
 対象歌番号
165
 対象歌句番号
165-5
 歌作者データ
大伯皇女
 参考歌番号

 キーワード
イロセ,兄,セ,市村宏,大野晋,イロト
 論文要旨
古事記上巻の須佐之男命の名乗りに、同母の弟の意のイロセを仮名書きにした「伊呂勢」がある。記において「兄」はセと訓むが、アニの義のみにしか使われない。須佐之男命の言葉であるから、「弟」字がふさわしいが、「弟」字ではセと訓ませるのに無理があるため、ここでは音仮名による表記をとった。また、165番歌五句目の「弟世」の訓を文字に即して訓むという立場から考察する。「弟」字がイロトと訓まれた可能性を指摘し、「弟世」の「世」はイロトの誤読をさけ、イロセと訓ませるために添えられたものと解する。この二者は弟をイロセと訓ませる表記習慣の未然に由来する、二様の文字面であると指摘する。"