万葉集主要論文所収歌句データベース(試作)


 論文タイトル
「堅塩」考
 論文サブタイトル
−万葉集訓詁の道−
 単著/共著
単著
 論者名
西宮一民
 ふりがな
にしみやかずたみ
 発行年月
1974/2
 発表雑誌名
萬葉
 特集タイトル

 発行所
萬葉学会
 発行番号
83
 掲載頁
5475
 巻番号
5
 対象歌番号
892
 対象歌句番号
892-7
 歌作者データ
山上憶良
 参考歌番号

 キーワード
堅塩,貧窮問答歌,カタシホ,キタシ,遠藤嘉基,井上通泰,山田孝雄,中村治助,伊勢神宮御塩殿,生道塩,荒塩,神宮徴古館,粟嶋神戸,糟湯酒,沢田吾一,渡辺寛,小関清明,平島裕,植垣節也,広山尭道,贄遺跡
 論文要旨
892番の貧窮問答歌にある「堅塩」は従来カタシホとよまれて異同が無いが、『日本書紀』等の訓注通りキタシとよむべきである。堅塩の訓注キタシは、「固くする」という意味の四段動詞「堅す(キタス)」の連用形キタシであり、キタシ=シホの後略である。堅塩はキタシの語構成の通り「固くした塩」であって、普通の塩を「堅塩調整土堝」に入れてニガリ対策のために燻製した、運搬、保存などの利点をもつ、黒灰色で球形の堅い塩であった。特産物として珍重され、神饌供御や朝儀の饗応・贈答に用いられたこと、貧窮問答歌でも貧の象徴ではないことから、従来堅塩が「貧窮」の概念によって「粗悪な固い塩」と解されたのは誤りであったといえる。 "