万葉集主要論文所収歌句データベース(試作)


 論文タイトル
阿騎野の歌二題
 論文サブタイトル

 単著/共著
単著
 論者名
吉永登
 ふりがな
よしながみのる
 発行年月
1975/6
 発表雑誌名
萬葉
 特集タイトル

 発行所
萬葉学会
 発行番号
88
 掲載頁
110
 巻番号
1
 対象歌番号
48
 対象歌句番号

 歌作者データ
柿本人麻呂
 参考歌番号
2, 8, 16, 45, 46, 51, 205, 216, 218, 309, 316, 800, 892, 897, 926, 1001, 1056, 1059, 1194, 1533, 1601, 1757, 1787, 2089, 2167, 2298, 2323, 2667, 3238, 3356, 3955, 4011, 4073, 4154, 4311, 4381
 キーワード
月西渡,月傾きぬ,ぬ,完了,‥ば‥ぬ,恒常的表現,見れば,呼応,継続,犬養孝,中山正実,み雪降る,かぎろひ,はた薄,狩
 論文要旨
巻1・48の第五句「月西渡」について、定説では「月傾きぬ」とよみ、「月が傾いている」と訳しているが、集中における完了の助動詞「ぬ」の用例の検討により、当該歌においては「傾きぬ」を「傾いている」と訳すことは不可能であることを指摘した。さらに「見れば」に応じる結びの在り方の考察を行い、当該歌の場合、動詞の終止形、または存在詞「あり」を含む時の助動詞「り」「たり」「けり」などで結ぶのが適当であり、これらの用例はすべて「ている」意の言葉で結ぶものばかりであることから、定説の訳はそのままに、「月にしわたる」「月傾けり」「月は傾く」の新訓を提示した。また当該歌の狩は十一月に行われたとする説に対しての疑問から、古代の文献における狩猟の催行月を調査し、歌中の「はた薄」の語を考慮した上で、その時期を九月か、せいぜい十月中旬以前であると推測した。"