万葉集主要論文所収歌句データベース(試作)


 論文タイトル
萬葉・二七五六番の「借有命」の訓みについて
 論文サブタイトル

 単著/共著
単著
 論者名
毛利正守
 ふりがな
もうりまさもり
 発行年月
1985/3
 発表雑誌名
萬葉
 特集タイトル

 発行所
萬葉学会
 発行番号
121
 掲載頁
4244
 巻番号
11
 対象歌番号
2756,
 対象歌句番号

 歌作者データ

 参考歌番号
7, 461, 466, 1807, 2248, 3745, 4060, 4285,
 キーワード
字余り,結合度,動詞性,『古代日本語文法の成立の研究』
 論文要旨
万葉集巻11の2756番の歌の第二・三句「借有命 在人乎」の訓読について、「仮れる命にある人を(カレルイノチニ アルヒトヲ)」と訓むべきであるとするもの。山口佳紀氏はその著『古代日本語文法の成立の研究』において、当該の第二・三句を旧訓にもどして「カリナルイノチ アルヒトヲ」と訓読すべきであると説く。これに対して筆者は「借」字は集中「借五百(カリホ)」などのように、「仮」の意味に用いる例のあることから、当該例も「仮」の義として解釈できるとする。また旧訓のように「カリナル命がある人を」と「命」を主語とすると当該歌は歌意が通らないとし、「〜命ニ」と「ニ」が入るのが穏やかであるとする。その場合「仮の命である人(私)を」と解釈することができる。なお、「カリナルイノチニ」では字余り句となるけれども、「連体形+母音からはじまる体言」の場合には字余りを生じないという事実があることから、当該例は「カレルイノチニ アルヒトヲ」と非字余り句に訓むべきであると結論付ける。"