万葉集主要論文所収歌句データベース(試作)


 論文タイトル
しが鰭は我れにかき向け
 論文サブタイトル

 単著/共著
単著
 論者名
伊藤博
 ふりがな
いとうはく
 発行年月
1989/3
 発表雑誌名
萬葉
 特集タイトル

 発行所
萬葉学会
 発行番号
131
 掲載頁
4653
 巻番号
19
 対象歌番号
4189, 4190, 4191
 対象歌句番号
4191-4
 歌作者データ
大伴家持
 参考歌番号
327, 1462, 1463, 2408, 3853, 3854, 3861, 4014, 4017, 4128, 4129, 4130, 4131
 キーワード
大伴家持,大伴池主,鵜,掾,判官,反歌,我等爾可伎無気,ワレニカキムケ,我れにかき向け,鮎,鰭,鮎の鰭,しが鰭,しが鰭は,し,かき向け,かき,接頭語,向け,ひれ,ヒレ,尾ヒレ,背ビレ,蔭膳説,蔭膳,魚身,謝意,思ひし思はば,井口樹生,鮑,のしあわび,のし,伸し,柳田国男,なまぐさ,仏教,祝儀,鰭広物,鰭狭物,毛D-47714物,毛柔物,祭式詞章,海之大小魚,御食つ物,海幸,旗,領巾,陽炎,袖,祝意,粕谷興起,海腹川背,は,乾鮑,松反り,東の風
 論文要旨
大伴家持が大伴池主に鵜を贈る際に付した歌三首中の一首、巻19・4191番歌の第四句「我等爾可伎無気」には、「かき向け」とは、どのようにすることを言うのか、また相手に対し、捕獲した鮎の鰭をかき向けることが、なぜ感謝の心を示すことになり得るのかという問題がある。以上の問題点を中心に当句の考察を行い、「かき向け」というのは、鰭をこちらに向けて供えよという解をも許容するが、限定的提示を表わす係助詞「は」が用いられていることから、切り取って贈れと見る説が妥当であること、鰭は御食つ物として捕獲された海幸の象徴物であり、祝意・謝意のしるしとして用いられたこと、また当該歌の鰭は、詠まれた魚が鮎という小魚であることを考慮し、尾ビレと見るのが自然であることなどを指摘した。"