万葉集主要論文所収歌句データベース(試作)


 論文タイトル
「明日よりは」とうたう意味
 論文サブタイトル

 単著/共著
単著
 論者名
渡辺護
 ふりがな
わたなべまもる
 発行年月
1991/10
 発表雑誌名
萬葉
 特集タイトル

 発行所
萬葉学会
 発行番号
140
 掲載頁
3751
 巻番号
2
 対象歌番号
165, 423, 941, 1427, 1571, 1728, 1778, 2037, 2050, 2195, 3119, 355, 3198, 4069, 4085, 4321
 対象歌句番号
165-3,423-22,941-3,1427-1,1571-3,1728-3,1778-1,2037-3,2050-1,2195-3,3119-1,3155-3,3198-1,4069-1,4085-3,4321-3
 歌作者データ
大伯皇女,山前王(柿本人麻呂),山部赤人,藤原八束,石川卿,娘子,能登臣乙美,大伴家持
 参考歌番号
17, 18, 105, 106, 155, 163, 164, 166, 938, 939, 940, 957, 958, 959, 1424, 1425, 1426, 1570, 1726, 1727, 1779, 2034, 2035, 2036, 2038, 2047, 2048, 2049, 2194, 2196, 2197, 2198, 3120, 3150, 3151, 3152, 3153, 3154, 3196, 3197, 3723, 3724, 3725, 3726, 4066, 4067, 4068
 キーワード
明日よりは,大野晋,井手至,粂川光樹,橋本万平,田中元,神野志隆光,稲岡耕二,近藤信義,三浦佑之,伊藤益,平舘英子,三田誠司,歌群,連作,清水克彦,渡瀬昌忠,波紋型構成,坂本信幸,伊藤博,配列歌群,逐時的和歌配列,創作歌群,別離歌,明日ゆ後には,明けてをちより
 論文要旨
「明日よりは」という句を含む歌を歌群中の一首として捉え、その言葉のもつ意味を歌群の流れの中で改めて考察する。歌群の中でうたわれる場合、「明日よりは」という一句を含む歌は、歌群の最後に位置し、その歌群を締めくくるという役割を担うことが多く、意図的に配列された歌群においても、ほぼ同様のことがいえること。また、別離歌群の最終部に「明日よりは」や、それに類する「明日ゆ後には」といった一句を据える表現が、歌群の起伏を経て、その感情の頂点、別離の場面において、最も効果を発揮することから、「明日よりは」の一句が、それの持つ“余韻”の深さをもって歌群を完結せしめることを述べる。さらに、「明日よりは」の句を持つ歌が歌群の冒頭にくる、配列歌群中の例外(歌群2194〜2198中の2195番歌)について、中臣宅守・狭野弟上娘子贈答歌群の冒頭四首中の3726番、第4句「明けてをちより」を参考に、「明日よりは」の句が、深い“余韻”をもって歌群を完結するが故に、後続の歌々を誘ったものと解し、防人歌群冒頭歌4321についても同様であることを指摘する。"