万葉集主要論文所収歌句データベース(試作)


 論文タイトル
万葉集における「将」字の用法
 論文サブタイトル
家持歌の用字位相を中心として
 単著/共著
単著
 論者名
板垣徹
 ふりがな
いたがきとおる
 発行年月
1990/3
 発表雑誌名
中央大学国文
 特集タイトル

 発行所
中央大学国文学会
 発行番号
33
 掲載頁
3144
 巻番号
2
 対象歌番号
146, 223, 1720
 対象歌句番号
146-5,223-5,1720-5
 歌作者データ
柿本人麻呂歌集中出,長忌寸奥麻呂,丹比真人,山部赤人,生石村主真人,大伴駿河麻呂,山前王,大伴女郎,大伴坂上女郎,作者未詳,大神女郎,高橋虫麻呂,柿本人麻呂,阿倍女郎,笠金村,大伴家持,古歌集,通観僧,柿本人麻呂歌集非略体歌,高市黒人,大伴坂上大嬢,守部王,大津皇子,沙弥尼,田辺福麻呂
 参考歌番号
143, 226, 323, 355, 402, 423, 519, 619, 1120, 1167, 1505, 1754, 1807, 1949, 269, 543, 611, 717, 9071078, 1083, 1155, 11168, 1936, 2284, 2367, 2571, 2968, 1509, 2317, 2962, 3788, 3795, 3796, 3797, 3798, 3799, 3800, 3802, 327, 2836, 1272, 2353, 3339, 279, 388, 1346, 1428, 1873, 2277, 3136, 2897, 3153, 729, 1000, 1971, 3875, 3854, 1180, 1390, 416, 1559, 777, 2356
 キーワード
原本系《玉篇》,篆隷万象名義,二音節仮名表記,助動詞む,終止形む,連体形む,将む,らむ・なむ・けむ,てむ,「将有」の字面,あるらむ・あらむ,木下正俊,準不足音句,毛利正守,字余り形・非字余り形,「将,欲也」の訓詁,楊樹達《詞詮》,広雅,稲岡耕二,願望的推量,いつかも〜む,〜むを,秋吉望,山田孝雄,用言の複語尾,和田明美,兼けむ,二合仮名表記,個人の用字傾向,万葉識字層,蜂矢宣朗,読添え,人麻呂歌集非略体歌,家持の用字,人麻呂歌集の用字,新訳華厳経音義私記,重見一行
 論文要旨
万葉集和歌表記中の訓字「将」は、原本系《玉篇》の訓詁「将、欲也」の援用に拠り、終止形が主体の意志・希望の助動詞「ム」の和訓として第一義的に結び付いた。以下、推量系の意味の“ム”や二音節助動詞“ラム・ナム・ケム”を「将」一字で訓ませようとした和訓の広がりの過程を考察した論考。連体形主体の推量系の意味“ム”へと和訓が広がる契機には、終止形「意志 ム=将」から、「イツカ(モ)〜ム」の願望的推量のム=「将」や、「〜ムヲ」の逆接助詞ヲが受ける歌作者主体の希望のム=「将」が関与しており、万葉2期頃“和訓ム=将”が定着化した。一方、「ラム・ナム・ケム」は其の担う時制が、現在・未来・過去と異なっていたためと、語分析も三者三様だったため、「将」字をめぐる万葉3期・4期の歌人たちの用字運用は微細ながら分かれている。"